ロングビーチ Long Beach Part 2

ロングビーチGPそのものはFormula Dでも取材をしているので何度も来たことはあったが、本戦のインディーとALMSは正直初めてだった。何もかも初めてづくし。通常FDで使っているパドックはインディーが占領し、ALMSのパドックは普段は駐車場。

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さぁ、行くぞとおもったら突然の雨。なんとしてもセブリングよりは良いパフォーマンスをしたいと思って挑んだが雨。

しかし予選までには晴れてなんとか路面も乾いた。そこでオフィシャルも「ドライ」宣言を出す。一番下のGT Challengeクラスが予選アタックに入った。

GTCクラスのポールポジションにインタビューするようディレクションが出た。

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GTCポールのMichael Valianteにインタビュー。この後また突然雨が降り予選は中止となった。

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同僚のケリーちゃん余裕のポーズ。雨なので近くのデパートに長靴を買いに午後出かけてました。Image

予選が終わった途端に晴れ模様。

ロングビーチグランプリ

怒濤のセブリングが終わり一ヶ月後にはロングビーチグランプリがやってきた。セブリングに続きこれまたビッグイベント。ロングビーチグランプリは1975年から続いているストリートレース。ロングビーチの公道をサーキットに仕立て過去にはF1やCARTもここで走っている。アメリカでもっとも有名なストリートレースと言っても過言ではないだろう。ここ数年はIRL INDYCARとALMSが目玉としてやってきている。ロングビーチを地元とするフォームュラDのドリフト選手権も前週に開幕戦を同じコースの一部をつかって開催される。

ALMSの第二戦であるロングビーチ。まだまだレベルは低く到底納得の行く内容ではなかった。しかしスタッフとも多少慣れてきたし少しはまともな仕事ができた気がする。

そこでまたいきなりの雨、雨、雨。まったく物事が予定通りすすまない。INDYCARともサーキットシェアするのでもともと少ない練習走行時間もどんどん中止となる。ドライバーもみんな雨で引っ込んでしまってなかなか捕まらないときた。

 

ピットレポートの難しさ

Screen Shot 2012-12-03 at 3.00.23 PM

自分なりにはまったく満足いかないパフォーマンスでレース番組はどんどん進む。何度かピットレポートのチャンスはあったものの殆ど目の前のことを伝えているだけ。まったく付け足す情報もなければそれをゲットする術もないのでどうすることもできない。

12時間のレース中には休憩時間もある。TVコンパウンドでマジに打ち拉がれていたらテクニカル・ディレクターのマイク・クサマが話かけてきてくれた。

「タロウは日本人かい?」と、聞いてきた。聞くと彼は日系3世のアメリカ人。そこでちょっと日本の話が弾んだ。アジア人が殆どいないアメリカン・ルマンの業界で日本人を見るのはうれしいという。それもオン・カメラのタレントとして。あまりそのように考えたことはなかったが、確かにアジア人のテレビタレントは限りなく少ない。自分のことを今までタレントとして考えたこともなかったが、テレビに出る以上はそのように認識した方が良いとも思った。彼は子供のころはテレビにアジア人が出るなんてことは殆どなかった、と言い僕がこの仕事に挑戦していることをとても嬉しく思うと言ってくれた。がんばらんといけないと思ってまたピットレーンに出ていった。

出ていくと、ジェニファーが「なんかないの?」と聞いてくる。何度聞かれて、何度「何もない。。」と言ったことか。

アクシデントでリタイヤしたチームのインタビューをこぎつけてなんとかその場はセーフ。しかし12時間の長いレース。沈黙は厳禁なのである。すぐにまた、「なんかないの?」とくる。

もうイサギよく「がんばったけどこれは無理です」と言ってやめようか?現実的にどう考えても無理だった。いくらがんばっても、今できないものはすぐできない。相手はプロ、知識も技術もまったくかなわない。

でもそれって逃げているってことか?「太郎おまえここで逃げるのか、おい?」と自問。でも実際できないものはできない。迷惑にならないようにやめようか?と真剣に頭の中をよぎった。。。ここまでダメダメに何もできなかったことが思いだせないくらいにダメだった。

あ、そうだ。たしか柔道で白帯のころ黒帯の先生に投げられまくった時と同じだ。。。「そんなんで試合で出るなよじゃぁ!」とまた自答。

このジレンマ。困ったもんだ。

スタート!

Image開始のグリーンフラッグが振られ12時間レースがスタートした。(Photo:IMSA/ALMS)

「最初の失敗なんかにいちいちクヨクヨしている場合ではない」と自分に言い聞かせ、ピットレポーティングに向かった。ボクの担当は主にPrototype Challenge (PC)クラスとGT Challenge (GTC)クラスがならぶいわゆるピットレーンの中でも下位クラスやチームが並ぶエリア。しかし、他のレポーターが休憩する場合はそれらの上位チームもカバーする。また、ESPN3としては全チームが守備範囲に入るのでその辺のマネージメントにまずは戸惑った。つまりE2とE3で担当がだぶっているのだ。ボクのレポートはE2のテレビでは使用されないが、E2レポーターの映像はE3では使うというのだ。う〜ん、この構成を理解してどのように動けば良いのかはっきりいってシーズン半ばまでかかった。このような担当割当で番組を作るのも初めてだったらしく、ま、「タロウやりながら決めていこうよ」と気楽なプロデューサーだった。

しかし、初仕事の現場では何が何だかまずは把握するので精一杯で全体の構成など考えている場合ではなかった。まずはドライバー、チーム、レース進行、番組構成、レポーティング自体すべて初めてずくし。今思えば恐ろしい。。。

良く頭がパンクしなかったと思う。

レースが始まり45分ほど経つとすこしずつクルマがピットインしてきた。ピットインするクルマを見るや、プロデューサーのジェニファーに「◎◎号車がピットインするからレポートできるよ」と言う。

そういうと、「今(番組)はそのクラスじゃないからいらない」という。

そうか、なるほどね、たしかに唐突に関係無いクルマのレポートをしてもしょうがない。

他のレポーターはどんどんスムーズに聞き惚れるようなピットレポーティングをしている。しかもなんでそんなこと知っているんだという言うな知識をうまく取り混ぜて。「ブライアンは後ろのサスペンションのセットアップがどうも気に入らないよう。次のピットストップでちょっと時間をかけてでもセッティングを変えるかもしれません」とか。。

Image(Photo:IMSA/ALMS)

後から聞くと、チームの無線ラジオをスキャンして聞いているという。それゃ、いきなり真似できねぇーよ、と思った。ただでさえ、右耳と左耳に別の声を聞いてさらにその上にチーム無線まで聞いていたら頭がそれこそパンクするよって。

いよいよボクの担当チームがピットイン、それチャンスがきた。プロデューサーからもオーケーが出た。

5、(よし!)

4、(マイクを絶対にオンするぞ今度は)

3、(あれ、なんかちょっと緊張してきたな)

2、(なんて言えばいいんだろう?)

1、(口の中が乾いているぞ)

「えー、えー、ゴールド色のJDXポルシェがピットインしました。。。まず燃料を入れています。そしてタイヤを4本変えようとしています。。。」全然まだ作業は続く。

「。。。えー、ちょっと作業に手間取っていますね。。。。」作業続く。

「。。。やっと終わりました。。。で、でていきました」。

我ながら史上最悪のピットレポート。

「俺ってこんなに喋るの下手だったっけ?」と自問自答。

なんだよ、今の?「やっと終わりました、でていきました」じゃねぇーよ。おいおい、英語下手だったっけ?おかしいな。なんでうまく話せないだろう?

これゃ、本格的にまずいぞ。あと何時間だ?

のこり10時間半。。。

続く。

セブリング12時間レース始まり

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レースが始まるまでにはなんとかやるべきことは理解できたがそれを実行するのはまったく別問題。ケーブルTVで北米中に放送されるESPN2の番組と生で10時間放送されるESPN3の両番組を同じ制作チームが番組を作る。ボクはESPN3担当。ピットレーンにはESPN2の他3人のレポーターもいる。

決勝レースは3月17日(土)午前10:30にスタートした。さぁ、12時間耐久勝負の始まりだ。

最初の仕事はPrototype Challenge (PC) Classのポールチームのインタビュー。レース開始と同時に各クラスのポールポジョンを上から紹介しインタビューする。ここで各ピットレポーターも番組内で紹介される。昨年までジャガーでGTクラスに参戦していて初めて2012からPCクラスでエントリーしているRSRというチームをインタビューすることになった。ドライバーは3人いて、一人はクルマに既に乗っているのでスタンバイしている二人のウチの一人であるトミー・ドリースィー(Tomy Drissi)をインタビューすることにした。

いきなりぶっつけ本番の生放送で行くという。トミーにはスタートと同時にインタビューするからピットテントに来てくれと事前に頼んでおいた。

インタビュー開始5分前。トミー現れず。もう一人のドライバー、ブルーノ・ジュンケイラ(ブラジル)のレーススタートに立ち会っているとチームマネージャーは言う。番組はどんどん進む。プロデューサーは「なんとしてでも探せ」と右耳に言う。カメラクルーは既にピットテントでスタンバイ。

インタビュー開始まで3分。トミーまだいない。「トミーいないんだけど。。」と言っても「探せ」の一点張り。このままボクに振られて肝心のドライバーがいない。もう一人のドライバーも一緒にいない。

インタビュー開始一分前。トミー、やっと余裕ふちかましながら歩いてくる。トミーをつかみ隣にすかさず立つ。その瞬間アナウンサーのジョンが「さぁ、次はPCクラスのポールポジョンです。ピットレーンにいるタロウ・コキに行ってみましょう!」

さぁ、これがキューだ、トミーにマイクを向け「ジョンとジェレミーありがとう、チーム結成は本当にぎりぎりの2週間前。それでもポールポジション。。。」と質問。

同時にレースがスタートしたので爆音が後ろで流れて、自分の声、ヘッドホーンから流れる音何も聞こえない。トミーもボクが何を言っているのか聞こえない。クルマが過ぎ去った後聞こえたプロデューサーの声。

「OPEN YOUR MIC(マイクをつけろ)!」。。。

このドタバタの中で肝心の自分のマイクをオンにすることを忘れてしまった!口パク状態でスタートしてしまった。

すかさずマイクをつけもう一度質問をしてトミーにマイクを向けた。

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後から番組を見るとそれほどのミスではないように見えるが(と思う)その時はもう穴があれば入りたいほど。自分においおい、いきなり本番でやるかと?呆れと後悔が頭の中をぐるぐると巡る。やっちまったなと反省する反面、まだレースは始まったばかり。これからなんとかして挽回しようと気持ちを持ち直してピットレーンに向かった。

予選だ

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いよいよ予選日。どうあがいても予選はやってきてしまう。もうやるだけやってみるしかない。まさにぶっつけ本番で挑んだ。Image

 

しかし予選のレポーティングはあまり出番が回ってこなかった。何がなんだか分からないうちにポールポジションをとった選手に他の3人のレポーターがすかさず向かってインタビューを次から次へとこなして行く。さすがに、「ポールインタビューやろうか?」って自分から立候補したが特にプロデューサーから指示も出ずに終わってしまった。

前の日にセブリング入した田部さん。井原慶子選手はWECのLMP2クラスに参戦。(ボケてしまってスミマセン)

 

 

さぁ、仕事だ

いい加減な気持ちで引き受けたつもりはまったくなかったが「ピットに出て自分なりの視点でレポートすれば良い」という気持ちでセブリングに来たものの、実際待っていたのはホンちゃんのレースレポーティングだった。
昨年のル・マン24時間の覇者、アンドレ・ロッテラーをインタビューするジェイミー・ハウ

練習走行の時にヘッドフォンとマイクを持ってピットレーンに出た。

いきなりオーディオトラブル。。。なんと右耳と左耳に別々の番組が流れている!

右からESPN、左からESPN3のアナウンサーの音声が入ってくる。4人の声がごちゃごちゃに聞こえ、これでは何がなんだかまったくわからない。いくら未経験といえどもさすがにこれが正常なわけはないと判断。直接連絡を取り合うのはピットプロデューサーのジェニファー。すぐに彼女に状況を説明するがイマイチ理解してくれず、一応音声ミクサーに問題を転送してくれたようだが結局そのまま解決せず練習走行は終了。

レポーティングどころかテクニカルトラブルを解決しようとしている間に木曜日の練習走行は終了した。

金曜日は予選日。朝から一段と緊張した雰囲気が流れている。それに増して自分もどんどん緊張。自分なりに「楽しんでやろう!」と言い聞かせてもなかなかこの状態の中で楽しむのは難しい。

続く