スタート!

Image開始のグリーンフラッグが振られ12時間レースがスタートした。(Photo:IMSA/ALMS)

「最初の失敗なんかにいちいちクヨクヨしている場合ではない」と自分に言い聞かせ、ピットレポーティングに向かった。ボクの担当は主にPrototype Challenge (PC)クラスとGT Challenge (GTC)クラスがならぶいわゆるピットレーンの中でも下位クラスやチームが並ぶエリア。しかし、他のレポーターが休憩する場合はそれらの上位チームもカバーする。また、ESPN3としては全チームが守備範囲に入るのでその辺のマネージメントにまずは戸惑った。つまりE2とE3で担当がだぶっているのだ。ボクのレポートはE2のテレビでは使用されないが、E2レポーターの映像はE3では使うというのだ。う〜ん、この構成を理解してどのように動けば良いのかはっきりいってシーズン半ばまでかかった。このような担当割当で番組を作るのも初めてだったらしく、ま、「タロウやりながら決めていこうよ」と気楽なプロデューサーだった。

しかし、初仕事の現場では何が何だかまずは把握するので精一杯で全体の構成など考えている場合ではなかった。まずはドライバー、チーム、レース進行、番組構成、レポーティング自体すべて初めてずくし。今思えば恐ろしい。。。

良く頭がパンクしなかったと思う。

レースが始まり45分ほど経つとすこしずつクルマがピットインしてきた。ピットインするクルマを見るや、プロデューサーのジェニファーに「◎◎号車がピットインするからレポートできるよ」と言う。

そういうと、「今(番組)はそのクラスじゃないからいらない」という。

そうか、なるほどね、たしかに唐突に関係無いクルマのレポートをしてもしょうがない。

他のレポーターはどんどんスムーズに聞き惚れるようなピットレポーティングをしている。しかもなんでそんなこと知っているんだという言うな知識をうまく取り混ぜて。「ブライアンは後ろのサスペンションのセットアップがどうも気に入らないよう。次のピットストップでちょっと時間をかけてでもセッティングを変えるかもしれません」とか。。

Image(Photo:IMSA/ALMS)

後から聞くと、チームの無線ラジオをスキャンして聞いているという。それゃ、いきなり真似できねぇーよ、と思った。ただでさえ、右耳と左耳に別の声を聞いてさらにその上にチーム無線まで聞いていたら頭がそれこそパンクするよって。

いよいよボクの担当チームがピットイン、それチャンスがきた。プロデューサーからもオーケーが出た。

5、(よし!)

4、(マイクを絶対にオンするぞ今度は)

3、(あれ、なんかちょっと緊張してきたな)

2、(なんて言えばいいんだろう?)

1、(口の中が乾いているぞ)

「えー、えー、ゴールド色のJDXポルシェがピットインしました。。。まず燃料を入れています。そしてタイヤを4本変えようとしています。。。」全然まだ作業は続く。

「。。。えー、ちょっと作業に手間取っていますね。。。。」作業続く。

「。。。やっと終わりました。。。で、でていきました」。

我ながら史上最悪のピットレポート。

「俺ってこんなに喋るの下手だったっけ?」と自問自答。

なんだよ、今の?「やっと終わりました、でていきました」じゃねぇーよ。おいおい、英語下手だったっけ?おかしいな。なんでうまく話せないだろう?

これゃ、本格的にまずいぞ。あと何時間だ?

のこり10時間半。。。

続く。

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セブリング12時間レース始まり

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レースが始まるまでにはなんとかやるべきことは理解できたがそれを実行するのはまったく別問題。ケーブルTVで北米中に放送されるESPN2の番組と生で10時間放送されるESPN3の両番組を同じ制作チームが番組を作る。ボクはESPN3担当。ピットレーンにはESPN2の他3人のレポーターもいる。

決勝レースは3月17日(土)午前10:30にスタートした。さぁ、12時間耐久勝負の始まりだ。

最初の仕事はPrototype Challenge (PC) Classのポールチームのインタビュー。レース開始と同時に各クラスのポールポジョンを上から紹介しインタビューする。ここで各ピットレポーターも番組内で紹介される。昨年までジャガーでGTクラスに参戦していて初めて2012からPCクラスでエントリーしているRSRというチームをインタビューすることになった。ドライバーは3人いて、一人はクルマに既に乗っているのでスタンバイしている二人のウチの一人であるトミー・ドリースィー(Tomy Drissi)をインタビューすることにした。

いきなりぶっつけ本番の生放送で行くという。トミーにはスタートと同時にインタビューするからピットテントに来てくれと事前に頼んでおいた。

インタビュー開始5分前。トミー現れず。もう一人のドライバー、ブルーノ・ジュンケイラ(ブラジル)のレーススタートに立ち会っているとチームマネージャーは言う。番組はどんどん進む。プロデューサーは「なんとしてでも探せ」と右耳に言う。カメラクルーは既にピットテントでスタンバイ。

インタビュー開始まで3分。トミーまだいない。「トミーいないんだけど。。」と言っても「探せ」の一点張り。このままボクに振られて肝心のドライバーがいない。もう一人のドライバーも一緒にいない。

インタビュー開始一分前。トミー、やっと余裕ふちかましながら歩いてくる。トミーをつかみ隣にすかさず立つ。その瞬間アナウンサーのジョンが「さぁ、次はPCクラスのポールポジョンです。ピットレーンにいるタロウ・コキに行ってみましょう!」

さぁ、これがキューだ、トミーにマイクを向け「ジョンとジェレミーありがとう、チーム結成は本当にぎりぎりの2週間前。それでもポールポジション。。。」と質問。

同時にレースがスタートしたので爆音が後ろで流れて、自分の声、ヘッドホーンから流れる音何も聞こえない。トミーもボクが何を言っているのか聞こえない。クルマが過ぎ去った後聞こえたプロデューサーの声。

「OPEN YOUR MIC(マイクをつけろ)!」。。。

このドタバタの中で肝心の自分のマイクをオンにすることを忘れてしまった!口パク状態でスタートしてしまった。

すかさずマイクをつけもう一度質問をしてトミーにマイクを向けた。

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後から番組を見るとそれほどのミスではないように見えるが(と思う)その時はもう穴があれば入りたいほど。自分においおい、いきなり本番でやるかと?呆れと後悔が頭の中をぐるぐると巡る。やっちまったなと反省する反面、まだレースは始まったばかり。これからなんとかして挽回しようと気持ちを持ち直してピットレーンに向かった。